もう少しパットンの軍団の果敢さが描かれているとよかったのですが、1970年当時では、彼の軍隊がいかに精鋭であったかということは記憶に新しいものだったのでしょうか、軍隊の描写について、2003年を生きる若者には物足りない感があります。
ですが、それでもこの映画の名作度が損なわれることはないのです。
パットンが随所で独白する古代の戦史へのうんちくも、効果的に使われていて美しいのです。『地獄の黙示禄』を好まれる方には必見です。
戦争映画はロマンチックであるべきです。
勇猛果敢な鉄血将軍でありながら、歴史(戦史)への造詣も深く、詩人の心を持つ。こんなパットン将軍は、まさにアナクロ、ロマンチストを絵に描いたような英雄です。
これをまた、ジョージ・C・スコットは憎らしいほどよく演じているではありませんか。
孤高の将軍の深い情熱、信念、愛情を、マスコミや同盟国の政治家たちが嘲弄し、狡猾に食い潰してゆくのです。
ラストシーンで最高司令官の任を解かれた彼が、犬を連れて偉大なヨーロッパの自然をバックに独白するシーンは、だれしも涙を誘うこと請け合いです。(あんたはなにも間違っちゃいないよぅ。と心で熱く叫んでください)
娯楽映画としては花がないし、記録映画的価値しかないと思った。
当時の制作費で2000万ドルの多くは劇中で使用された弾薬に煙となって消えてまったらしい。また、主演のJ・C・スコットがアカデミー主演男優賞を拒否したことでも有名。パットン将軍(大統領の承認もないうちに、自分で勝手に中将に昇進している。)が、彼が着任したばかりの基地に奇襲をかけるハインケル111爆撃機に向けて、リボルバーの拳銃で挑む姿は圧巻。
初期の地上波やVHSの吹き替えは大平透がやっていました。(DVD版は大木民夫さんです。)が、これがまたはまってました。実際のスコットはシャガレ声なのですが、さすが名声優と、こちらに主演(吹き替え)声優賞をあげたいくらい。
もう、20回くらい観てますが、とにかく戦闘シーンのリアルさにかけては当時多く作られた戦争映画の中ではピカ一です。軍事顧問として、カール・マルディン演じたブラッドリー大将本人が製作に参加していることからもうなずけます。とはいえ、オリジナル脚本賞受賞のフランシス・F・コッポラの手腕によるところも大でしょうね。音楽もいい!!(なぜか、私はジェリー・ゴールドスミスの映画はほとんど観ている。)