SFが、現実の科学に追い越される前に辛うじて間に合った作品。この時期以降のSFと名乗るものは、映画に限らずすべて作家の妄想と成り果ててしまった。その意味で本作は、言わばSFの墓碑銘みたいなもの。
こういういいSFを見ておかないと、ファントムメナスなんかを「最高」なんて言うハメになります。
ディズニー・プロの協力を得て作られた見事な特殊合成にうなります。当時の主流だったマットペインティングがすばらしい。当時26才のアン・フランシスが実に美しい。彼女も今年は72才。お元気なのでしょうか?ロビーの存在感も見逃せません。コックの要望でウィスキーを何百本も複製するところなど、スタートレックのレプリケーターの元祖かな?アルテア4のエネルギー量を知るインジケーターがメーターなのが気にかかるのは私だけだろうか。もう少しSFっぽくして欲しかったけど・・・。
人間の深層心理が実体化して現れるという展開は、その後の「惑星ソラリス」や60年代後半からのSFTVなどにも多く見られますが、単なる娯楽SFに終わっていないところがいいですね。円盤形宇宙船というのも、今となっては滑稽でおもしろいです。