ベトナム戦争後、初のオールベトナムロケの映画で、しかもベトナム人俳優によるベトナム語のアメリカ映画です。物語は1.詩人ダオと少女キエン・アンの物語、2.シクロの運転手ハイと娼婦ランの物語、3.ストリートキッズ、ウッディの物語、4.元米兵のジェイムズの物語が平行して展開していきます。途中、この4つのストーリーが絡み合っていく、いわゆる「グランドホテル形式」。一つ一つのストーリーの感想を述べると非常に長くなってしまうので割愛しますが、共通しているのは、登場人物は皆心に影を持っていますが、懸命にそれを乗り越え、一応のハッピーエンドを迎えます。その課程が胸を打つ感動作に仕上がっています。
　監督は若干26歳の新進気鋭。その若さでこんな作品を作ってしまうなんて末恐ろしい・・・
　ラストの火焔樹の並木のシーンがやっぱり一番印象的。ランの純白のアオザイとひらひらと舞う火焔樹の真っ赤な花びらとの対比はあまりに美しすぎる！