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小さな中国のお針子 (2002)

ドラマ
45.6pt 45.6pt
巴尔扎克与小裁缝

4 (1人)

1971年、文革の嵐が吹き荒れる中国。青年マーとルオは医者を親に持つことから、反革命分子の子として再教育のために奥深い山村へ送り込まれた。彼らはそこで過酷な肉体労働を強いられる。ある日2人は、美しい少女、お針子に出会う。ルオはお針子に一目惚れした。彼らは、同じ再教育で来ている若者が禁書である西洋の本を大量に隠し持っていることを知り、それを盗み出す。そして、文盲のお針子に毎夜西洋の文学を読み聞かせてあげるのだった。許されない秘密を共有することで結びつきを強める3人。そして、お針子は西洋文学が語る自由に次第に目覚めていく…。
キャスト
Little Seamstress
Luo Min
Ma Jianling
Head of the Village
Four Eyes
Mother of Four Eyes
Old Mill Worker
Director of the Commune
Peasant
Peasant
スタッフ
監督
製作総指揮
脚本
原作
レビュー投稿
レビュー
きくりんさん
2003/04/10 09:07
 鑑賞前は当時の中国(毛沢東)を批判し、文革被害者をお涙頂戴よろしく描いたものなのかと不安交じりだったのですが、そういったメタファーは極力抑えられ、質の高い、暖かい作品に仕上がっています。なんといっても、悪い人が1人として出てこない!村長さんは初めこそ街から来た若い者にナメられちゃいかんと強く2人に当たりますが、本来は気のいいおじさん。次第に態度が柔和になってきます。また、他の村の人達も素朴で素直な人ばかり。本当の下放運動はこんなものではなかったとは思いますが、同じ中国人同士、憎み合うような関係には描きたくないという監督の優しさが伝わってきます。
 また、結局最後までお針子の名前は判らず仕舞いという演出も心憎い。これによって2人にとってお針子、また鳳凰山の村で過ごした日々が他の過去とは別の、心の引出しにしまいきれないノスタルジーを刻むこととなるのでしょう。
 映像も美しく、村から望む山河はまるで山水画のよう。そして、村で起こる様々なエピソードはどれもユーモラスで、微笑ましい。特に村長の虫歯を足踏みミシンを改造して拵えたドリルを使って3人が治療するシーンは大笑いしてしまいました!
 ホントによくできた佳作ですが、ただちょっと気になったのはフランス文学、というかヨーロッパ文化を偏重している感があること。盗んだカバンの中には『紅桜夢』等も入っていたのに一切劇中に出てこないし、その後マーはフランスへ移住し、ルオは上海で歯科医学の権威となっていますが、原作では2人とも中国を離れる設定でした。まぁ、元々西洋人向けに描かれた(というか、ダイ・シージェ氏自身の嗜好がそうであった)ためでしょうが・・・
 それから、ラストのシーンも蛇足。あのシーンがどうして必要なのか意図不明です。尺合わせのようでどうも納得いきません。
 それがなければあと☆プラス評価だったのになぁ・・・(^^;