いい映画だと思う。売れる小説が書けなくても、必ずしも不幸ではないんだと思った。後味が良い。
ある著名な作家は「書くことは幸福の追求だ」と言った。それは良い文章云々に関わらず、「書くこと」についての言葉だ。グラディは2作目の小説を書くことをやめられなかったと言っていたが、2つの言葉に何か通ずるものを感じた。人間の心が軸になっている映画だけに人によって何を感じるかには随分差があるんだろうなぁと思う。
悲観主義を脱したとき、初めて時代に適合した天才になれる
らしい。
良き文章を書く事とニヒリズムは密接に関わっているのだろうか?
その部分が今も頭から離れない。
人は幸せ過ぎると人間社会の相対性の裏の部分が見えなくなり、名文を書く事ができなくなるのだろうか?
そうは信じたくないが偉大なる作家の自殺率の高さを見ると、やむ事のない精神の受動性に延々と苦しんでいる様に思える。
モーリス・ブラショが死と思考の概念で、人は死ぬ時初めて思考する事をやめられる、よって考える時死ぬのであると語っていたが、
それが本当なら楽観的な人間は健康でものをよく考える人間は不健康だということになる。
真偽の程はわからないが知性に傾倒する人全てに必見の作品である。(おもしろくはないよ!)