ニール・ジョーダン監督の評価は分かれるかもしれませんが、『クライング・ゲーム』『マイケル・コリンズ』『ブッチャーボーイ』など特にアイルランドに関わるものは、強く印象に残っています。
この作品は自伝的要素が強いといわれているグレアム・グリーンの小説を原作としており、舞台もロンドンなので、ほかの作品とは違った印象です。↑「サラが小説家に何故惹かれていったのか、そこがちょっと・・・」との感想ごもっともですが、原作がそうなら仕方ないのではないでしょうか。自身小説家でもあるジョーダン監督はグリーンに共感するものを感じたのでしょうね。
むしろ、「全体を官能的な幽霊譚にしたかった」というジョーダンの意図が成功しているかどうかが評価の分かれ道でしょう。そういう意味では、<あの>誓いを立てたときからサラは取り憑かれ呪われるわけで、そこそこ成功していると思います。
爆撃で荒廃したロンドン市街をセットで忠実に再現するなど、監督の意気込みも感じられます(やや空振りかもしれませんが)。
映画全体の成否はともかく、ジョーダン作品常連のスティーブン・レイがこれまでどおり好演している点がよかったです。
一言で言えば、不倫だけれども、人を愛するってこういう事なのかもと考えさせられました。ただ、サラが小説家に何故惹かれていったのか、そこがちょっと・・・。彼のどこが好きなのかもイマイチよくわからなかったし。
でも、彼女の中の強さ、弱さが、同じ女性として、とても共感できました。