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『さよなら、退屈なレオニー』大九明子絶賛!「足し算も引き算もいらない完璧!」トークイベントレポート
2019/07/02
【日時】7月1日(月) 20:50の回上映終了後
【場所】新宿武蔵野館 (東京都新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3F)
【登壇】大九明子(映画監督:『勝手にふるえてろ』、『美人が婚活してみたら』)
矢田部吉彦(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター)

2018年カナダでスマッシュヒットを記録した『さよなら、退屈なレオニー』は、自分
がやりたいことも自分の居場所もみつからない、カナダの小さな街に住む17歳の少女
レオニーの物語。ある日、レオニーは街のダイナーで年上のミュージシャン、ス
ティーヴと出会う。毎日はつまらないことだらけだが、レオニーのなかで少しずつ何
かが変わり始めていく。監督はカナダの新鋭、セバスチャン・ピロット。レオニーを
演じるのはカレル・トレンブレイ。2015年のトロント映画祭で「未来を担うひとり」
に選ばれ、2018年東京国際映画祭で(原題『蛍はいなくなった』として)上映され、
輝きを放つ若手キャストに贈られる<ジェムストーン賞>を受賞している。

公開を記念して、『勝手にふるえてろ』、『美人が婚活してみたら』など女性が主役
の作品が多い大九明子監督と東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの矢田部
吉彦氏がイベントに登壇。

一般のお客さんに交じって映画を観終わったばかりの矢田部氏は「ほんとに胸がいっ
ぱいで、映画の雰囲気を壊さずにトークをできるか心配。改めて観て音響がいいとこ
ろで観ると、音の作り込み方だとか、雰囲気をつなげるときの音楽の使い方とかやっ
ぱり違うなと思ったし、レオニーちゃんの魅力と、スティーヴは(レオニーに)惚れる
よなって、様々な感想がでてくる。映画祭で選んでいるときは色んな青春映画観るん
ですけども、行き詰ってる青春の映画が多いんですけれど、例えばドラッグに走っ
て、セックスして、子供ができてっていう作品が多い中で、こういったほんとに等身
大で、カナダの映画だけれども、我々がここまできちんと理解できる行き詰まり感を
抱える青春映画はなかなか無いなと。改めて今日見て猛烈に感動したというか浸って
います」と興奮気味。
大九監督は「矢田部さんがオールタイムBESTの青春映画だとおっしゃられていると聞
いて、私はジャンルということよりも、とてもスケールの大きい壮大な映画だなと
思った。音楽と映像と俳優のアンサンブルが素晴らしくて、音楽がずーっと流れてい
る映画なのでラストに向けて、劇伴が邪魔しないように美しく伴っていく中で最後ド
バァーとなって、思わず立ち上がりたいくらいの興奮を覚えて。観終わったときに話
は全然違うんですが、第一印象としてラース・フォン・トリアー監督の『メランコリ
ア』を思い出した、そういうスケール感のある映画として捉えたんです」とその印象
を語った。

女性を主役にした作品が多い大九監督に矢田部氏から「自分の作品と比べて観たりし
ましたか?」の質問には「比べて観るということはしないが、似たカットを見つける
と、ハッって少し動揺する。ショットに対して嫉妬したり、こういうのやってみた
かったというのはあった」と答えた。

「ラストの部分、母が亡くなって、ホタルが復活して、野球場でっていうとやっぱり
『フィールド・オブ・ドリームス』を思い出してしまう」と矢田部氏、大九監督もそ
れには大きく頷いていた。また「そういった輪廻みたいなことを考えると先ほどの大
九監督の言うスケールの壮大な映画っていうの納得できる」と続ける。
「シンプルに振りと回収が行われていくんですけど、ラストシーンでは、さあみなさ
ん考えなさいっていう、えっ!っていう驚きがある。そしてそれがとても心地よ
い。」と大九監督、続けてレオニーについて「めったに笑わないですよね、だから
笑ってくれるとホッとする。人をくった話し方が、半笑いというか、あれは心の中で
馬鹿にしながら話してみてくださいとお願いしても、できない人もいるかと思うんで
すけど、そういうのが根っからできるという得難い才能を持った俳優だと思う」とそ
の才能を認める。

ギター教室のシーンでのスティーヴのカッコ良さにも言及。もともとミュージシャン
としても活動するスティーヴの超絶ギターテクニックに大九監督も「なんてことする
んだ、あれは惚れるわ」と大絶賛。演出についても、ゲームセンターでのバイクの
シーンでは『大したことしているわけじゃないのに足し算も引き算もいらない完ぺき
なカット割りだと思うんです、最初抱きついてるだけが、そっと頬よせて、とか、人
と人とが恋愛とかいうことよりも体を寄せ合うっていうところの切なさ』に涙が込み
上げてきたとお気に入りのシーンを挙げた。
矢田部氏も「スティーヴのサブストーリーもレオニーの心情と相まって描かれている
からただの青春映画で終わってない」と分析する。

「レオニーを『勝手にふるえてろ』での松岡茉優さんに重ねて観た方も多いと思う」
と客席を見渡す矢田部氏、大九監督は松岡さんについて「最初から大物感たっぷりで
したよ」と明かした。18歳当時の松岡さんが高校の制服への不満を話していたエピ
ソードに会場では笑いが起こった。

最後に矢田部氏は「本作のようなフランス語圏のカナダの映画がここ6~7年とても勢
いがあって、なんでかって言うとグザヴィエ・ドランという監督が世界的にぐわっと
出てきて、そういう天才が出てくるとその国が盛り上がるということで助成金なども
充実してきて。この作品も監督もその流れで出てきたわけで。カナダのフランス語圏
の映画は今後も注目してほしい」とメッセージを送った。